データサイエンティスト2名による対談記事
Category:対談記事
~この記事について(ファシリテーターより)~
今回は、弊社データサイエンティストの吉井と新井が、「データ活用による企業への効能」について対談します。
まずデータ活用について紐解いていくにあたり、吉井・新井によると、データ活用には「3つの誤解されがちなポイント」があるそうです。まずはその「誤解」について対談の中で明らかにしたのちに、「データ活用による企業への効能」について読者のみなさまにお伝えしていきます。
~吉井プロフィール~
中部電力ミライズコネクト㈱ マーケティング部 データサイエンティスト。三菱商事にて海外中小企業及びスタートアップのM&A、経営戦略立案と実行を担当した後、中部電力ミライズコネクトに出向。分析による売上アップ/コストダウン全般、生成モデル(GPT)やスクレイピング技術による業務自動化・顧客データ整備が担当分野。
~新井プロフィール~
中部電力ミライズコネクト㈱ マーケティング部 データサイエンティスト。三菱商事にてBizDev(オープンイノベーション、アライアンス等)の推進を担当した後、中部電力ミライズコネクトに出向。予測アルゴリズム構築による操業最適化や、データクレンジング・データ統合によるデータ整備が担当分野。
吉井
こんにちは。今回は宜しくお願いします。
新井
宜しくお願いします。「よろしく」といっても、普段から同僚として職場でも話しているんですけどね。笑
吉井
全くその通りですね。笑
さて、今回の対談のテーマは「データ活用による効能」ということで、まずはそもそも「データ活用を進めていくにあたり、我々がコンサルティングをする中で気づく「データ活用を行う中で企業が犯しがちな3つの勘違い」について私から少しお話しできればと思います。
新井
いいですね。確かに、私もお客様のご相談にお乗りする中で、「データ活用が成功する企業とそうでない企業」には明確な違いがあるなと感じています。
吉井
はい、それでは最初に、データ活用について誤解されがちなことを3つ挙げてしまいたいと思います。
1つ目の誤解、それは「データさえあればすぐに結果が出る」という勘違いです。
2つ目の誤解、それは「データ分析はエンジニアが机上でガリガリとやっているもの」という勘違いです。
3つ目の誤解、これはデータ活用における最大の課題ですが、「データ活用は難しそう・高いコストがかかりそう」という勘違いです。
新井
いずれもうなずけるものばかりですね。
1つ目の「データさえあればすぐに結果が出る」という勘違いについてはよくある勘違いだと私も思います。DXやデータ活用というものは、えてしてトップダウンで始まる取組であることが多く、それ自体は悪くないのですが、「ウチの会社のこのデータを使っていい感じに新規事業作れないかな?」といったファジーな要件でプロジェクトがスタートしてしまうことがあり、この背景にあるのも「データさえあれば何かいいことが出来る」というぼんやりした期待感から来ている部分は大きいかなと思います。
吉井
そうですよね。実際には、データを分析して「どんな結果が出したいのか?」という目的思考を持つことが非常に重要ですし、目的から逆算すると、実際には不足していたり、データの取得や整理の方法が不十分なデータも多いです。
データ分析の世界では非常に有名な言葉ながら、“Garbage in, garbage out.(ごみからはごみしかでてこない)”という言葉がありますよね。
これまでデータ活用に取り組んでいなかった企業さまのデータは、そもそもデータ活用を目的としたデータの蓄積がなされていないので、そのままでは分析やAI構築に使えないこともしばしばです。
新井
だからこそ、事業の現場をみて「どのようにオペレーションを改善すればより良質なデータが取れるか」を考えることも、分析官の重要な仕事ですよね。
吉井
全くその通りです。データ分析官の仕事は、5割が現場の観察と現場との対話、残りのうち4割がデータの準備、最後の1割が分析の為PCに向かう時間だと言ってもいいくらい、現場に向き合い準備をする時間が非常に重要です。
新井
「現場に向き合う」というところで、2つ目の勘違いの話になってきましたね。「データ分析はエンジニアが机上でガリガリとやっているもの」だという勘違いはありますよね。
吉井
はい、この勘違いはある意味、正しいんです。確かに高度なデータ分析プロジェクトにおいては、PM(プロジェクト・マネージャー)、コンサルタント、データサイエンティストの役割は高度に機能分化されていて、「データ分析はエンジニアが机上でガリガリとやっているもの」だという勘違いはこの「データサイエンティスト」のロールを想像してそのような言説が出ている部分もあるのかな?と思います。
新井
そうですね。しかし、実際には企業におけるデータ活用プロジェクトの多くで重要になるのは、「現場とデータ分析技術の橋渡しになる人材」ですよね。つまり、現場を観察し、事業における課題が何かを特定し、その課題に対してどんな分析手法が有効なのかを考え抜く人材ですね。
吉井
そうです。それができる人材がいないと、「エンジニアが独りよがりな分析モデルを作成して、現場に引き渡したはいいものの何の役にも立たない・使われない」という事象がおきうるわけです。
新井
我々が目的意識と三現主義をもっとも大切にしている理由ですね。
吉井
はい。そしてここまで読んでくださった読者の皆様は、データ分析は現場とデータ分析技術の橋渡しをするのが大事であるということはお分かりいただけたと思うのですが、それが為に「難易度が高そう」だとか、「コストがかかりそう」だと考えているかもしれません。それが今回で言う「3つ目の勘違い」です。
確かにプロジェクトによっては工数がかかるプロジェクトもありますが、分析のいいところは、「ステップバイステップ」で進めていけるところです。
新井
そうですよね。皆様イメージされているのが「最初からビッグデータを分析するための基盤を整えて、大規模な機械学習モデルを実装して、時間をかけて分析をして…」という流れなんですが、実際にはそこまでしなくてもよい場合も多いですね。サンプルデータを取ってきて、スモールに分析をするだけでも「その分析を大規模なスケールで実施した時に、どれくらいのインパクトが生まれるのか」は見積もることはできたりするんですよね。
吉井
はい、まさにそれが私が一番伝えたかったポイントです。別に最初から大規模なIT基盤やデータ分析基盤に莫大な投資をする必要はなく、まずは手動で小規模なデータを取り出してみて、小規模に分析をやってみればいいんです。それで結果が出そうなら、大規模な投資を行っていけばいい。
新井
スモールステップを踏んでいく姿勢は、データ活用を行う企業内や経営層の期待値コントロールを行う観点でもとても重要ですよね。
大きく出て失敗すると、データ活用に対して懐疑的な意見が噴出しかねないというのはあるかと思います。
吉井
そうです。それがもったいないんです。
なぜならデータ分析は企業にとって競争力の源泉となりうる大きな効能を秘めているからです。
このグラフを見てください。
アメリカに本拠を置くコンサルティング企業「アクセンチュア」によると、2025年に「AIを活用できない企業のうち77%が業績が悪化する」という予想が出されています。
新井
これはかなりの割合ですね。
吉井
はい、そうです。私の解釈としては、「AIの活用が必須である」という話では決してなく、「AIを取り入れるような先進的な取り組みを検討できる企業こそが生き残る」という趣旨だと解釈しています。
新井
それは、企業体力的にということですか?
吉井
いえ、どちらかというとそれはスタンスというか、カルチャーの問題だと思います。
上述の通りデータ分析・データ活用はわずかな投資で進められますし、宣伝のようで恐縮ですが私たちの分析コンサルティングは数十万円からお試し分析が可能です。
だからこそ、競合にさきがけて「まずはやってみよう」の精神がのちのち差をつけるのです。
新井
たしかにそうですね。あまりにも変化が激しい現代においては、我々含め変化を積極的に取り入れる姿勢が大切ですし、そのような企業もかなり増えてきていますよね。
吉井
そうなんです。データ活用や分析を通じての効能は、上記のような業績インパクトももちろんありますが、最大のポイントは「データを通じて変化を適切にとらえ、時代の変化にあわせて経営のかじ取りをできるようになること」と、「新しい取り組みを積極的に取り入れる進取の精神が社内に芽生えること」、この2つだと思っています。
新井
強く同意します。その通りですよね。
このページをご覧になっているみなさまも、まずは小さいステップで良いので分析・データ活用への第一歩を踏み出していただきたいと思います。
弊社では、データ活用について無料での相談を受け付けておりますので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡いただければ幸いです。
吉井
弊社一同お客さまからのご連絡をお待ちしておりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
2023.05.17